コトリバコ

【怪異】死相の本とコトリバコ【第3夜】

@kotoribako

編集者・高橋は、呪いの書「死相の本」を手に入れ、過去の恨みを晴らそうとする。しかし儀式の果てに、彼は「幽霊坂」に姿を消すことに…夜になると、この坂に彼の姿が現れるという噂が広まり、今では「幽霊坂」と呼ばれている。その瞳には、呪いに囚われた苦悶の表情が映し出されている…。#都市伝説 #ホラー #死相の本 #幽霊坂 #復讐#怪奇譚 #神楽坂

♬ オリジナル楽曲 – SATORI – SATORI

それは、辞書ほどの厚さを持つ奇妙な本だった。右ページには様々な人々の生前の顔、左ページには彼らの死後の姿が並べられている。生者の表情は穏やかであっても、死後の顔は皆、苦悶と絶望に満ちていた。この「死相の本」と呼ばれる書物は、持ち主に呪いの力を授けると噂され、禁忌の書として恐れられていた。

その本を手に入れるには特別な儀式が必要だった。死神と交渉するためには、ゴホウ以上の呪物「コトリバコ」を供える必要があり、死神の問いかけに正確に答えなければ、体の一部を代償として奪われるという危険があった。ある日、この禁断の書に興味を抱いた編集者の高橋は、何とかして本を手に入れる決意を固め、死神との交渉に挑んだ。そして、その交渉が成立し、高橋は死相の本を手にすることができた。

高橋は社会人として編集業に従事する一方で、過去に受けた屈辱と裏切りに苛まれていた。彼はその恨みを晴らすため、死相の本を使う決意を固めた。本の左側のページに呪いたい相手の生前の写真を貼り付けることで、その人物に不幸が訪れるという。捧げる血の量によって呪いの強さが変わるため、復讐に必要なだけの血を自分から捧げることを決意した。

しかし、人間が命を落とす血の4倍の量を捧げることで、強力な効果が得られると知った彼は、罪のない者から血を手に入れ、儀式を実行に移した。

復讐を果たすために、高橋はある夜、神楽坂のとある急な坂へと向かった。そこは呪いがより強く発揮される場所と噂されていた。その坂の中ほどで、彼は死相の本を開き、呪いたい相手の写真を左側のページに貼り付け、血をしたたらせた。

その瞬間、冷たい風が吹き、空間がひどく歪むのを感じた。不意に、右側のページに自分自身の顔が現れているのに気づいた。そこには、生前の彼の顔と、見たこともないほど苦悶に満ちた死後の表情が並んでいた。驚愕と恐怖に駆られる中、彼は得体の知れない力に引き寄せられ、周囲は深い闇に包まれていった。やがて、高橋の姿はその場から消え、彼の行方を知る者はいなくなったという。

その後、この坂では夜になると男の姿がふと現れると噂され始めた。やがて人々は、この場所を「幽霊坂」と呼ぶようになる。彼は呪いに囚われ、永遠に坂に縛られたまま、冷たく虚ろな目で訪れる人々を見つめ続けている。彼の瞳に映るのは、かつて復讐の念に燃えた自分の姿であろうか──それとも、死相の本に映し出された彼の運命の終焉であろうか。

ABOUT ME
Employee A
あなたは生き残れますか?この漆黒の闇に。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です